本当にあった喫茶店の話

コーヒーが飲みたい!!
遡る事、今から25年程前。
まだ、昭和が抜けない、
平成になりたての頃。
勤めていた会社の仕事で、
名古屋市熱田区へ行ったその帰りの話。
交通の便は良くなく、
バスで帰るしかない。
次のバスまでは、
40分も待ち時間があった。
確か、風の強い寒い季節だった。
最寄りの喫茶店にでも行き、
コーヒーでも飲みましょう、
という話になった。
ところが、ない、ない、
無いのである。
最寄りの喫茶店らしきものが、、、。
こうなると、俄然、コーヒーが飲みたい。
よく、よく、探すと、
夜はカラオケ居酒屋で昼は
ランチをやっているような、
味のあるお店があった。恐る恐る、
扉を開けると、年配のママさんがお一人。
入り口すぐに、
大型のカラオケ機材が目に入った。
『泡のコーヒー』
「コーヒーを飲ませて頂くことはできますか?」
ママは無言で、奥の席を指した。
席に座って、壁を見渡すと、
おススメメニューとして、
『泡のコーヒー』と書かれていた。
『泡のコーヒー』って、
カプチーノの事ですよね。
先輩と喜んだ。
これは、『泡のコーヒー』を頼むしかない!
厨房から、ガラガラという音が響き出した。
先輩と私は、まさかと、、目を合わせる。
まさか自動泡立て器で
コーヒーカップの中のコーヒーに、
泡立て器を入れて、
泡立ているのではないか、、
そんな、何かをかくはんする音だったのだ。
出てきた、コーヒーは、
確かに泡立っていたが、
ものの数十秒でただのコーヒーになった。
何かがオカシイ
そして、もう一つ、
お店に入った時から気に
なっていた事があった。
お店に流れるBGMだ。
昭和のブルースのようなBGM。
でも、何かが変なのである。
この謎は、お会計の時に溶けたのである。
このBGMに合わせて、
ママさんが同じ声、同じ歌い方で
歌っていた。
なんと、、、
自分のカラオケで歌った録音を、
お店のBGMとして、
流していたのだ。
こんな、面白い喫茶店。
もうすぐ終わろうとしている
平成を生きた時間の中で、
一回きりの出来事だった。

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