愛犬に辿り着くまでが、長い話~第三章~
名古屋市動物愛護センターへ通う
犬を家族に迎える!!そう一大決心をしたものの、
3年が過ぎ、なかなか状況は変わらず。
ただそんな中、週末に名古屋市動物愛護センターへ、
通うことになる。
ここには、ふれあい犬として活躍している愛護犬と遊んだり、
お散歩ができたりした。
私は、その中で当時「マリモ」ちゃんにメロメロになった。
犬種はシーズーだったと思う。
愛らしい容姿と、あまり人に媚びないチョコチョコした感じが
たまらなかった。まずは、犬に慣れなければならない。
「マリモ」ちゃんに会いたくて、毎週のように愛護センターへ
通うようになった。
タイトルは「肉球さわったよ」
そんなある日、小学生の娘が嬉しそうに帰宅し、
嬉しそうにこう言った。
「学校で描いた絵が、選ばれて名古屋市博物館に展示してもらえる!」と。
なんでも、愛護センターの愛護犬とふれあいの場で、
お散歩をした時の絵を描いたとの事。
絵のタイトルは「肉球さわったよ」娘らしい、いいタイトルだ。
その日は少しおめかしをさせて、
名古屋博物館へ展示された娘の絵を見に行く。
何かがおかしい
確かに、絵は飾ってあった。
でも何かがおかしい。
娘が一番にそれに気がづいた。
タイトルが、「肉球さわったよ」から「犬とお散歩したよ」という、
なんの変哲も無いタイトルに差し替えられていたのである!!
何か問題があったのだろうか。
まさか、こんな小学生の娘に忖度が発生したのか。
あの有名な、川端 康成先生の「雪国」が、編集者さんの忖度で、
「北陸地方は今日も雪」なんてタイトルに差し替えられてしまっていたら、今日まで文学史に残る名作になっていただろうか。
私たちは、複雑な気持ちでその場を後にした。
娘は犬の肉球を表現したくて、描いたのだ。
あのタイトルでは、肉球はなかった事になってしまう。
小学生の娘の気持ちは、もっともっと複雑だったに違いない。
この時、彼女はきっと何かを諦めてしまったかもしれない。
娘よ、この一件に関わった、そんなたくさんの大人を許して欲しい。