フレンチブルドッグを眺めるたびに~今だから話せる恥ずかしい話~

子育て中の思い切った決断

もう、10年ほど前になるか、
一人で、1週間だけ海外へ旅をした。
フランスへ行った。
旅行というよりは、
逃避に近かったか。
子育てや全てに行き詰まり、
少しだけでも別世界を見ないと、
生きてはいけないような
気がしたからだ。
家族や実家の親、妹には、
協力と理解に感謝を、
そして、迷惑をかけたこと
には、陳謝を。

一週間は長いようで短い、
往復で二日を使ってしまうので、
中身は5日間ほどになる。
それでも、全てから切り離された
時間は、私には、有難かった。
(帰国後大変だったけど、、、。)
独学で勉強し、フランス語検定
4級まで取得した知識は、
本物の言語を目の当たりにして、
理解は皆無だった。
(元気ですか?も聞き取れず。)

心の中をよぎるのは

それでも、心の中をよぎるのは
留守番をしてくれている、
子どもたちのことだった。
街を歩いていても、
子どもたちに思い出になる
お土産を買って帰って
あげたいと考えていた。

何か、思い出になるお土産。
ありきたりのものでなく、、、。
息子には、外国のお札と硬貨を
娘には、、、何を。
街を歩いていると、
あるセンスのある雑貨屋さんの
ショーウインドウからこちらを
見つめる犬と目が合った。
フレンチブルドッグの置物だった。
漆黒色の陶器製のフレンチブルドッグ。
首輪にガラスがはめ込んであり、
立ち姿が美しい。

でも待って、
わりと、大きいし、陶器製だし、
お土産としては、
どうなのか。
スーツケースで持ち帰れるのか。
娘は喜ぶのか、、、。
娘は、犬が大好き。
かなり長時間、
フレンチブルドッグと
見つめあう。
ありきたりのものではないお土産
このコンセプトには、
がっちり当てはまる、、。
悩んだすえ、
長時間眺めたすえ、
陶器製の漆黒色の
フレンチブルドッグを購入した。

フランスで購入した
フレンチブルドッグ!!

日本へ帰る道中に割れないよう
スーツケースの中で、
何重にも緩衝材として、衣類や
タオルを巻いて、
無事に持ち帰る。
持ち運びの苦労が、
自己満足となり、
娘は喜んでくれるはずだ、
喜んでくれるに違いない。
そう、信じ切っていた。

娘は、表面上は喜んでくれたが、
何かが違う。
「フランスで購入した、
 フレンチブルドッグなんだよ~!!」
私の反応にも何故か、
気まずい雰囲気が流れる。
娘は、言いにくそうに、
申し訳なさそうに、
「あのさ~、お腹の下のところに
 Made in Chinaって書いてある、、、」

フランスで購入した、
フレンチブルドッグは
フランス製だと信じていた。
しっかりと見つめあったはずだが、
腹まで見抜けなかった。

フレンチブルドッグの
置物自体に問題があるわけではない。
どの国で作られたのかが、
問題なわけでもない。
ただ、今回は
フランス製の物をお土産に
したかっただけだ。
だって、フランスに行ったんだもの。

その、フレンチブルドッグは、
今でも私の部屋の出窓にいる。
お腹に貼ってあった、
Made in Chinaのシールは
剥がしてしまった。
証拠隠滅、、、。
フレンチブルドッグが、
腹の底で笑っているように見えた。

 

 

 

 

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