野犬と七夕の願い

愛犬に辿り着くまでが長い話~第二章~
犬のトラウマ
犬には、トラウマがあった。
引越しをして、山の上の高台の団地に住んでいた時の事だから、
私が、小学校に上がった頃だと思う。
近所の仲の良い(と思っていた)犬に、じゃれていたら、
突然手を噛まれて、離してくれず、その時から犬が怖くてたまらなくなった。
後日噛まれた訳を教えてもらった。
その犬は、病気で1週間ほど入院していて、戻ってきたばかりだったらしい。
その為、私のことを忘れたか、体調が良くなく、機嫌が悪かったか、、、と。
その出来事以来、どんな小さな犬でさえ触れる事すら出来なくなった。
野犬現る
そして、私に更なる追い討ちをかける出来事が起きる。
野犬ってご存知だろうか。
今は、ほとんどいないのだと思うが、
私の住んでいた団地は山を崩して出来ているので、団地の周りの崖の向こうは山だった。
時々、野犬が出没したのである。
野犬が現れる前は、不思議な空気感が、団地を漂っていた。
野犬は、群で行動するのか、崖に連なるように、何匹かが、現れたかと思うと、
遠吠えをしだして、崖をもろともせず降りてくる。
そして団地を徘徊しだすのである。
野犬に噛まれたりなんかしたら、、、怖いなんて、ものじゃない、、、
想像するだけで、命の危機すら感じたのだから。
野犬は限りなく、オオカミに近いと思う。
犬とは遠い存在
犬とは、自分の人生に関わることはないと思って生きてきた。
ところが、娘が産まれて、この娘が言葉を話すようになってから、
犬、犬、を連発しだし。なぜか、犬が好きで、好きで、、、、
私自身が、犬を好きになるよう促せない親なのに、
何故、犬、犬と言うのか不思議でしかなかった。
犬を飼いたい。犬を飼いたい。口癖のようになった。
一大決心
遡ること、今から12年前。
娘が幼稚園にあがり、七夕の短冊に願い事を書いていた内容を見て、
私はある一大決心をする。
そこには、『犬になりたい!!』と書かれていたのである。
えっえ~!犬を飼いたいんじゃなくて、なりたい?くらい好きなんだ。

犬を家族に迎える!!
そう決心したものの気持ちは揺らぐ。
犬に触れられない私が、出来るのか、、出来ないのか、、、。
私だけなら、絶対に選ばなかった世界を、選んでみることにした。
でも、この時から、犬が家族になるまで、約5年の歳月が必要だった。

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